日曜の午後、君の名を叫ぶ−第2章−

午後3時40分、響き渡るファンファーレとともに、歓声が競馬場に響いた。ダービーが開催されている東京競馬場に限らず、札幌競馬場でもレースを今かと待ちわびたファンの歓声が湧き上がっている。
あの日と同じく、彼の名が刻まれた単勝馬券を握り締めて、レースを見守る。一つだけ違うのは、見ている場所がウインズではなく競馬場ということぐらいか。みぞれ混じりの皐月賞とは違い、ダービーは澄み渡った青空が広がり、やがて訪れる夏の気配を感じさせる好天である。個人的には1年で最も好きな時期だ。
各馬がゲートインし、レースが始まる。彼はまた後方からのスタートだ。皐月賞でも同じような展開だったと思いつつも、ターフビジョンをじっと見つめる。時折襲い掛かる妙な不安を抑えつつも。

不意に、以前耳にした嫌なジンクスを思い出す。
「デビューから4戦4勝したSS産駒はいたが、5戦5勝した馬はいない」。確かに、フジキセキアグネスタキオンは4戦4勝した後に故障を発生し、ターフを去った(ディープが皐月賞で勝ってしばらくはその不安があった)。また、去年のダンスインザムードも圧倒的1番人気で迎えた第5戦のオークスで4着に敗れている。奇しくも鞍上は武豊。後方に位置するディープを見つめながら、一抹の不安がよぎる。だが、この馬の勝利を信じて、馬券を握り締めているのだ。ディープは必ず勝つ。強く信じて、彼の走る姿を見つめる。

第3コーナーを曲がった辺りから、彼がゆっくりとペースを上げる。するすると先頭グループに立っている。弥生賞皐月賞と同じような勝ちパターンだ。そう確信したとき、不安はどこかに消えた。

「ディープ、来い!」
直線に出たとき、またしても叫んでしまう(ただ、今回は周りに人が多かったのでちょっとトーンは押さえ気味)。彼はすでに先頭に立とうとしている。思いを込めて、もう一度彼の名を叫ぼうとする。しかし、そのとき彼はすでに先頭のインティライミをかわし、先頭に立っている。もはや、言葉はいらなかった。
他馬を引き離す彼の姿をただじっと見ている以外に、自分にできることはなかった。せめてできることは、あまりの強さに感嘆のため息を漏らし、鳥肌を立てるぐらいだ。

ディープインパクトがゴールした瞬間、競馬場のあちこちで拍手が鳴り響いた。単勝1.1倍に支持された彼の勝利を信じていた人の多さに改めて気付く。そして、自分自身も惜しみない拍手を送っていた。その名の通り衝撃的な強さを秘めた彼に。
POGのポイント集計期間は終わってしまうけど、これからも彼の姿を見守り続けたい。デビュー前から注目していた馬がどのような足跡を刻むのかを見届けるためにも。

……とまぁ、また小説風に書いてみました。ちなみに、「サラブレ」はもう買わなくなったので、もうPOGはやりません。でも、2001年から始めたPOGで最初で最後の大物を引き当てたな。しかも、歴史に名を刻むような名馬だもんな。まさか、これと引き換えに趣味の欄から競馬が消えたわけじゃないと思うけど。
多分、今後も馬券を買うのはディープインパクトが出るレースに限定されると思います。今日の予想(単勝のみでも)が当たって気持ちよかったけど、また深くハマることはなさそうだし。ただ、札幌開催は微妙。札幌記念に出てくれれば問題ないんだけど(笑)。とか何とか言いつつも、安田記念バランスオブゲームが来るんじゃないかと思ってみたりする。