Tomorrow never knows(Mr.Children)

イン・ザ・プール」を読了する。話のテンポがいいし、それぞれの登場人物(患者側)の心境に共感できるものがあり、スラスラ読めました。特に、不安神経症でガスの元栓が気になる人は、自分自身が同じような状態にあるので、他人事のように思えませんでした。とは言え、あそこまで重症じゃないですけど。
で、読んでいて思ったことは、人間って結局は自分を軸に物事を考えてしまうものだっていうことである。他人の何気ない会話だって自分と関係あるんじゃないかと神経質になるし、自分の存在価値を求めるあまりに無理してしまうのだから。だから、伊良部医師のように他人の目を気にせずに、自分の本能の思うままに生きられる人が本当にうらやましく思えました。特にクリスマスでのプレゼントの抽選会の件は、人目を憚らずに噴出してしまったくらいだし(ただ、あそこまで極端なのもどうかと思うが)。
久々に肩の力を抜いて楽しめました。でも、精神を病んでいた頃に読んでいたら、もっと早くに気分が楽になれたかもしれないな。
でも、改めて考えると随分と自分の枠組みにこだわりすぎていたような気がする。常に周囲に気を配り、自分の感情を押し殺してきたけど、やっぱりそんな生き方は息苦しくて、どこかで疲れていたんだろうな。ケータイ依存症の人が「自分が誰かとつながっていることで、自分の存在が証明される」って書いてあった件は、自分自身もそう思っていただけに、「あー、その気持ち分かるなぁ」って心の中で呟いたもん(とは言え、自分はケータイ依存症ではないが)。
で、そんなことを考えていたら、タイトルの曲の歌詞を思い出してしまう。
♪少しくらいはみ出したっていいさ oh oh 夢を描こう
♪誰かのために生きてみたって oh oh Tomorrow never knows
♪心のまま僕は行くのさ 誰も知ることのない明日へ
まさにその通りかもしれないな。自分らしさの枠組みをぶち壊して、はみ出したって別にいいだろうし、少しぐらい自分のために生きたって問題ないじゃないか。とにかく心のままに生きてみれば、少しくらい気分だって楽になるはずだもんな。今までずっと苦しんできたんだし、少しだけ自分を解き放ってみるか。癒えることのない痛みだって、無理に消さないで引き連れていけばいいんだから。もっと気楽に生きよう。
……とまぁ、そんなことを考えたみぞれ混じりの夜であった。